東京高等裁判所 昭和59年(ラ)609号 決定
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【判旨】
本件記録によれば、抗告人は、一括売却に係る別紙物件目録記載の不動産のうち1及び2の各不動産につき、本件差押えの登記がなされる前日の昭和五九年七月九日債権額三五〇万円の抵当権設定登記を受けていること、右各不動産については、さきに西相信用金庫が昭和五四年七月二六日極度額一〇〇〇万円の根抵当権設定登記を、次いで差押債権者である長谷川三儀が昭和五七年二月一八日債権額六五〇万円の抵当権設定登記をそれぞれ受けていること、執行裁判所は、租税その他の公課を所管する熱海市役所等及び前記西相信用金庫に対し民事執行法第四九条第二項による債権届出の催告をしたが、抗告人に対しては右催告をした形跡がないこと、同裁判所書記官は、昭和五九年一〇月九日民事執行規則第三六条第二項による期日入札の公告をし、かつ、同規則第三七条に従い、利害関係人に対し入札期日等の通知をした(ただし、抗告人に対し右通知がなされたか否かは記録上明らかでない。)こと、同裁判所は、入札価額一三五〇万円で買受けの申出をした小川幸治を最高価買受申出人と認め、同年一一月一九日同人のため売却許可決定をしたことが認められる。
右事実によれば、抗告人は、執行裁判所から前記債権届出の催告を受けておらず、また入札期日等の通知も受けていないことが推認されるけれども、債権届出の催告を受けないことにつき抗告人は何らの不利益を受けないし、また、前記認定のように期日入札の公告は適法になされているのであるから、右通知が抗告人になされなかつたからといつて、抗告人は入札期日等を知り得た筈であり、したがつて、抗告人がより高価な買受人を捜し出して、その者を入札期日に参加させることも不可能ではなかつたと考えられる。
そうだとすれば、抗告人が右催告及び通知の欠如によつてその主張するような不利益を受けているとは、到底解することができないから、右催告及び通知の欠如が直ちに売却の手続の重大な誤りであるということはできない。したがつて、本件売却の手続に民事執行法第七一条第七号の事由があるとの抗告人の主張は、採用することができない。
(吉野衛 時岡泰 山﨑健二)